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ゆめのせかい台本微修正



 ぱちぱちと火が爆ぜる音。
ユウ:(すぐにわかった。理不尽な速度で燃え広がるあの炎はボクの存在を許さない。運良く焼かれなかったとしても、このままでは煙を吸って死ぬだろう)
ユウ:逃げないと・・・・・・! なんとかして、何とかしてここからでないと。
・・・どうやって?(諦観の笑み) この地獄の、どこに逃げろって言うんだ・・・・・・。

派手に崩壊する音。

ユウ:(ああ、ボクはここで死ぬのか。・・・・・・ユミ)



板堂:今から七年前。フィッツジェラルドランドという遊園地で、サーカス小屋が全焼する大事故があった。原因は依然として不明、被害は甚大で、遊園地は閉鎖。行方不明者は1000人を超える。まさに大惨事だった。だが現場からは、現在に至るまで死体が一体も発見されていない。
   未だ大半の人が行方不明。私の親友も、その一人だ。

 ユミの寝息が聞こえてくる。(病院)

板堂:なぁユミ。ユウは今、どうしてるんだろうな・・・・・・。案外、まだあの遊園地で遊んでいたりして……なんて、な。


ユウ:ドラマCD Duskエピソード0 ゆめのせかい


紅郎:逃げろ・・・・・・舞。
舞:でも!
紅郎:父さんもすぐにいく。先に行け!

 上から大きい破片が落ちてきた音

紅郎:うっ!
舞:お父さん!
紅郎:いいから行け! 

 何かが崩れる音。

舞:あっ
紅郎:舞!!
 空間がねじれるような音。トラウマになりそうな感じの効果音。
舞:お父さん!!

舞、気絶。

舞:う・・・・・・うぅ。あれ・・・・・・生きてる?  よかったぁ~、お父さ、あれ、お父さん!?

 ようやく周囲の異常に気づく舞。

舞:いない……それに、火が消えてる・・・? 落ちてきてた瓦礫も。どうして・・・? でもここは、あのサーカス・・・・・・。一体何が起こったの? どうして、
レヴィ:どうして生きているんだろう? ここはどこだろう? 周りの人たちはどこへ行ってしまったんだろう? 答えは単純だよ、佐倉舞ちゃん。
舞:だ、だれ!?
レヴィ:君たちはこの夢の世界に招待されたのさ。
舞:誰なの!? どこにいるの? 姿を見せて!

 鈴の音とともに姿を現すレヴィ。

レヴィ:ボクはレヴィ。この世界の案内人。
舞:(!? 女の子が、宙に浮かんでる・・・・・・!? これは、夢なの?)
レヴィ:気づいていないようなら教えてあげる。ここはあなたたちが元いた世界じゃない。
舞:どういうこと!?
レヴィ:ここは我が主が支配するゆめのせかい。ボクはさしずめ白ウサギってところかしらね? 君は強制的に招かれた可愛い可愛いアリスさん。
舞:そんな……違う世界……そんな馬鹿な!
レヴィ:信じられない? じゃあ君の世界では、燃え尽きかけている建物が一瞬で無傷に戻ったり、人が一瞬でどこかに消えたり、こ~んなにプリティーな女の子が空を飛んでたりするのかしら?
舞:そんな……そうだ、お父さん! お父さんはどこに行ったの!?
レヴィ:安心して。君のお父さんもこの世界に来ているよ。
舞:じゃあ、じゃあ! 私達はなんでこの世界に来たの? なんで同じ場所にいたのにバラバラになっちゃったの! 私達は、私達は! 元の世界に、帰れるの?
レヴィ:さあね。
舞:さあねって・・・・・・案内人っていったのに!
レヴィ:そうだよ? ボクは案内人。君が元いた世界のことなんて知ったことじゃないんだ。ボクの役目はこの世界を案内すること。それ以外のことを聞きたいのなら、全能なる魔法使いさんに聞くんだね。
舞:魔法使い?
レヴィ:そう、我が主。この世界の主。偉大なる支配者。魔法使い。
舞:その人に聞けば、わかるんだね?
レヴィ:そういうことになるだろうね。
舞:どこにいるの? その人は今どこにいるの!?
レヴィ:会いたいかい?
舞:会いたい! 会って、父さんの居場所を聞かなくちゃいけない。そしてこの世界から戻る方法を!
レヴィ:その願い、聞き入れたよ。

レヴィが指をぱちんと鳴らす。

レヴィ:1名様ご案な~い♪

ミラクル瞬間移動。

舞:!? ここは?
レヴィ:ボクは案内人なんだよ。魔法使いさんに会いたいって言うから案内してあげようじゃないかってハナシ。
舞:でも、誰もいない……。
レヴィ:当然でしょ? ここはスタート地点なんだから。
舞:は?
レヴィ:たった今から君は冒険者、この物語の主人公だ。
舞:どういうこと? 魔法使いさんに会わせてくれるんじゃなかったの?
レヴィ:そんなことをしたら冒険終了じゃないか。主人公は様々な苦難を乗り越え、道中で仲間を増やし、最終決戦へと向かう。それがセオリーでしょ? 魔王城はスタート地点の隣になんてありはしないよ。
舞:そんな……。
レヴィ:これぞ究極のファンタジーRPG(ロールプレイングゲーム)。さあ勇者舞ちゃんは、イベントをクリアして、ハッピーエンドを迎えることが出来るかな? じっくり見物させてもらうよ。

舞:暗くて何も見えない。どうして、こんなことに? 私は一体、どうしたら!
舞:お父さん、おとうさーん!!

すすりなく舞。

レヴィ:つまらないねえ。ゲーム開始時から立ち止まりっぱなしの主人公がどこにいるんだい? もう冒険は始まっているんだよ。知ってるかな。ゲームによっては動かないでじっとしているといろんな悪いこと(ネガティブ・エフェクト)が発生するんだよね。例えば夜になると地中から大量の骸骨が這い出てくるとかね。ポーズもしないで放置してるとあっというまにオダブツさ。

地中から何かがはい出てくる。

舞:な、なにかが、地面から這い出てくる!? なななにあれ!? 影?
レヴィ:自分がいる場所がわかっていなかったようね?
舞:! (ここはフィッツジェラルドランドにそっくりな世界・・・・・・)じゃあここは、

うめき声を上げながら這い寄ってくる化け物。

舞:ホラーゾーン・・・・・・! ならこれはただの立体映像のはずだよ!
レヴィ:それはどうかな?

舞にとびかかる化け物。

舞:きゃあっ。なに、ぬめってした・・・!?
レヴィ:忘れているようだね。ここは夢の世界
舞:う・・・。うわぁ、離れてっ!
レヴィ:夢が現実となり、常識が幻想となる世界。幻影、幻想、空想。それこそがこの世界では真実。
舞:や、やめて、こないでぇ!

レヴィ:その子、君たちに任せるよ。煮るなり焼くなり好きにしちゃっていいよ♪ ボクもう帰るから。あーあーつまんないのー!

 レヴィ瞬間移動。ミラクルな効果音は発生せずぞんざいに消える。

歓喜の声をあげる亡霊達。

舞:やめて、はなして、いやあああああああああああ!!

バシュン! と16回ぐらい音がして亡霊達が引く。

舞:え、え? トランプ?
ピエロ:お嬢さん、今のうちです!
舞:え、う、うん!

走って移動する二人。
場面転換。

ピエロ:怪我はありませんか。
舞:あ、はい。あなたは、さっきのサーカスのピエロの人ですよね。
ピエロ:そうです。ということは、あなたもサーカスに来ていたんですね。。
舞:ピエロさんは、この場所について何か知ってるんですか?
ピエロ:いえ、私は気がついたらこの世界にいました。
舞:そうですか……私と同じなんですね。
ピエロ:おそらくこれは、誰かが仕掛けた趣味の悪いゲームです。
舞:ゲーム……。レヴィも言ってた、これは究極のファンタジーRPGなんだって。
ピエロ:RPG(ロールプレイングゲーム)、ですか。それじゃあいったい、

ここで主人公っぽく決めるピエロ。

ピエロ:私達の役割は、なんなんでしょうね……。


 場面チェンジ。悪役サイド

レヴィ:あれが主人公補正ってやつかな。ねぇ、あの子はまだまだ楽しませてくれそうね。
ルル:るーるー!
レヴィ:おや? どうしたのかな?
ルル:ぎゃーす!
レヴィ:ふむふむ。やる気があるのは良いことだね。でも君の出番はまだだよ。中ボスの登場は、パーティーメンバーがそろった後。後一人、足りない。でもまぁ、顔見せぐらいなら良いかな?


 場面チェンジ。勇者サイド。
 空を見上げながら歩く舞。ちょっと憔悴しているようなぼうっとしているような様子。
舞:(私の視界にうつっているのは間違いなくフィッツジェラルドランド。なのに、間違いなくフィッツジェラルドランドじゃない。空を見上げてみても、ここが朝なのか夜なのかもわからない。知っている場所なのに、知らない場所。頭が、おかしくなりそう)
ピエロ:気をしっかり持ってください、お嬢さん。しかし本当に、どうして私達だけがこの世界に来たんでしょうね。
舞:(私達の共通点は、あの時サーカスハウスにいて、火事に巻き込まれたこと。でも、その条件だけでいうなら1000人以上の人がこの世界に来ているはず)
舞:全くわかりません・
ピエロ:……そうですね、考えてわかることではありませんでした。とにかくこの世界を出ることを考えなくては。
舞:そのためには、魔法使いを見つけないといけないって、レヴィは言ってた。
ピエロ:魔法使い。一体何者なんでしょうね。それに、あのレヴィって女の子も。
舞:(ピエロさんは、私と同じようにレヴィに誘導されてさまよい歩いていたらしい。だとすると、私がピエロさんに助けられるのも、レヴィの思惑通りだったことになる。私はずっと、手のひらの上で踊らされている……?)
舞:ねぇ
ピエロ:はい?
舞:ピエロさんは、ここに来る前どうしていたんですか?
ピエロ:私は、日本にいませんでした。
舞:(……外国人? ピエロメイクでわからないけど)
ピエロ:日本人ですよ。でもまぁちょっとしばらくは海外で暮らしていたんです。やっと日本に戻ってきて、仕事を見つけたところだったんですが……。
舞:(……そっか。サーカス、焼けちゃったんだ)
ピエロ:まぁでも、私達ピエロは自分の身体が商売道具ですから、サーカスハウスが燃えてしまおうがなんとでもなりますよ! だから、早く元の世界に帰って、妹と母を安心させたい。
舞:妹さんがいるんですか。
ピエロ:ええ、可愛い妹でね。ちょうど君と同い年くらいかな。
舞:私も、お母さんとお兄ちゃんがきっと心配してる。それから、お父さん。
ピエロ:レヴィが、君のお父さんはこの世界にいるといったんですね?
舞:うん。
ピエロ:大丈夫です。きっと見つかりますよ。フィッツジェラルドランドは広いですが、それでも遊園地ですから、たかが知れています。隅から隅まで探してやりましょう。
舞:……はい!

ルル:ぎゃおーす!!

敵襲BGM。エンカウント! って感じの。

ピエロ:!?
舞:人……まだ私達以外にも人が?
ルル:るーるー!
舞:まさか、さっきみたいなぬるぬるモンスター!?
ピエロ:いや違うアレは、フィッツジェラルドランドのマスコットのルルちゃん!
ルル:るるー♪
舞:本当だ。
舞:(ルルちゃん。この遊園地のマスコットキャラクター。くりくりとした目と、動物の顔になっているフードと、だるんだるんの袖がトレードマークのゆるきゃら、のはずなんだけど、このルルちゃん、ちょっとデザインが違うような・・・・・・?)
ルル:ぎゃおーす!!
舞:飛んだ!?
ルル:るーるーるー(ばさっばさっ)ぎゃおーす!
舞:行っちゃった。
ピエロ:ルルくんまで襲ってこなくてとりあえずは一安心です……。しかしルルくんのデザインといい、細かいところも現実とは異なるみたいですね。
舞:良かった。私の勘違いじゃなくて。ルルくんの前髪は目が隠れるほど長くなかったし、フードの顔もあんなんじゃなかったですよね。袖もなんだか先が分かれてて海月みたいだったし。
ピエロ:うん。ルルくん以外にも、ホラーゾーンもあんなに恐ろしげじゃなかったし、メリーゴーランドのライトアップも違いますね。
舞:(なんだろう。私の頭も本格的におかしくなってきたのかも知れない。違和感はすごいんだけど、なんでだろう、こっちのほうが本物よりも幻想的というか本物らしいというか、この世界がちょっと魅力的に感じてきた。なんて、何考えてるんだろう私。絶対おかしい。こんな場所、早く帰らないといけないのに)
ピエロ:・・・・・・おや?
舞:どうかしました?
ピエロ:あの観覧車…。
舞:観覧車のデザインも違いますね。ライトアップの色合いも違うし。トランプの絵柄になっているところは同じだけど、一つゴンドラが多くてジョーカーがある。
ピエロ:それもそうなんですが、ジャックのゴンドラを見てください。
舞:あ。あれは。
ピエロ:誰かが、乗っているみたいです。

 場面転換 観覧車

詩人:朝日と夕陽と月の光が混ざり溶け合うカオスな空。この空、なかなか悪くない。心地いいカオス、「うまくいったときの闇鍋」に通じる心地よさがあります。そうしてまさにカオスなこの世界で、一人のたれ死ぬのも悪くないと思っていましたが、どうやら私以外にも、人がいたようですね。
ピエロ:は、はあ。
舞:私は舞っていいます。
詩人:よろしく、お嬢さん、ピエロくん。私のことは、詩人さんとでも呼んでください。
舞:(変な人だ)
詩人:それにしても不思議なところですねここは。サーカスを見ていたと思ったら突然こんな所に。あ、あなたのショーはとても素晴らしかったですよ、ピエロくん。特に空中ブランコでの連続ジャンプは鳥肌が立ちましたよ。
ピエロ:ありがとうございます。あなたも、火事に?
詩人:ええ死にかけました。瓦礫に挟まれて身動きもとれず、消し炭になるかと。
舞:(やっぱり、みんなあの火事にあった人……)
ピエロ:レヴィって人によれば、ここは魔法使いのつくった夢の世界なんだそうです。
詩人:レヴィ……。
ピエロ:ご存じなんですか?
詩人:私の所にも来ましたよ。自分は案内人だ、と名乗っていましたね。ここで待っていればそのうち勇者ご一行様が来ると言うことでしたが、あなたたちのことだったんですね。
舞:(勇者。確かにレヴィは私のことをそう呼んだ。このゲームの主人公、勇者だと)
詩人:しかし、ゆめのせかい。この世界をつくりだした魔法使いって人はなかなかわかっているようですね。実は私はこの遊園地のスタッフでね、今日のサーカス開演記念でお呼ばれしたんですよ。
舞:えーと、スタッフってことはこの遊園地を創った人ってことですか?
詩人:の、一人、ですね。主に私はデザイン面で。遊園地という場所には思い入れがあったのでね。特に観覧車には。
 数秒間遠い目をしている詩人。
詩人:私達の共通点はサーカスに来ていたこと。火事にあったこと、でもそれだけじゃない、決定的な何かが共通しているんじゃないでしょうか。
舞:決定的な、何か。
ピエロ:もしかして、お心当たりが?
詩人:いいえ全くありません。わかることは一つだけです。あの火事大規模の被害者……その全員では無く、私達だけがここにいるということにはきっと何か理由がある。
ピエロ:何らかの理由で連れてこられた……?
詩人:まぁいずれにしろただの推論です。元々考えてわかる答えではないのですから。方程式の用意されていない問題は考えるだけ無駄というものです。例えば閉じられた闇鍋の中身、見知らぬ人から聞かれた「昨日自分は何を食べたでしょう」、答えられるわけがないでしょう? もし勘で答えてそれが正解だとしても、私達にはそれが正解かどうかもわからない。答え合わせが出来なければ、ね。
舞:(この人、おなか減ってるのかな)
ピエロ:そうですね、いずれにしろ、レヴィの言う、魔法使いを見つけないことには何も始まらない。
舞:結局、今はそれしかないんだ。
詩人:私もご一緒させてください。この世界の主、是非あって話がしてみたい。
ピエロ:そうですね、みんな目的は一緒です。いいですね。舞ちゃん?
舞:はい。もしかしたら他にも人がいるかも知れないし、遊園地を探し尽くせばきっと魔法使いさんだって見つかるはずです。
舞:(それから、お父さんも。待ってて、お父さん)


 ちょっと時間経過

舞:(遊園地スタッフの詩人さんがいっしょにいてくれることは、どこに何があるのかまだよくわからない私達にとってありがたかった)
詩人:RPGというからにはきっとラスボスは目立つところにいると思いますよ。タワー・オブ・ホラー、マーメイド・キャッスル、ラビリンス・オブ・ミラージュ、ポーラスター・コンドル。時計塔。大きい建物はそんなところでしょう。
ピエロ:私のゲーム開始地点はポーラスターでした。
舞:私はホラーゾーンです。
詩人:じゃあタワーとコンドルは除外しましょう。もちろん観覧車も除外ですね。
舞:(後残っているのは、)
詩人:マーメイドキャッスル、ラビリンスと、時計塔。ラビリンスはまだオープンしていませんし、城か、時計塔でしょうね。どちらもこの遊園地のシンボルといえますし。
ピエロ:どっちから行きましょうか……。
舞:レヴィは『魔王城』という言葉を使ってたけど……。
詩人:なら、マーメイドキャッスルのほうが可能性は高そうですね。
ピエロ:ええ、行きましょう。
舞:(そこに、魔法使いがいるんだろうか。この世界から、帰ることが出来るのだろうか)

 時間経過。

ピエロ:これ、これが、マーメイドキャッスル……?
舞:(人魚の城、という響きを聞いて、私はいかにも女の子が喜びそうなメルヘンなものを想像していた。でも、今目の前にあるものはその想像とは全く違う。一言で言うと、なんか禍々しい)
詩人:これは、マーメイドキャッスルでは無い……。
ピエロ:どういう、ことなんですか?
舞:と、とにかく、中に入ってみるしかないんじゃないですか?
ピエロ:そうですね……。

重い扉を開く音。

舞:(……この狭い広間に、玉座が一つあるだけ?)
ピエロ:あそこにいるのは、まさか魔法使い!?

マントを翻しながら立ち上がる音。

ルル:るー!!
舞:ルルちゃん!?
詩人:……ルルくん。
ルル:残念 君たちは 外れを引いた。
舞:(フードの顔が喋った!?!??)
ルル:あなたは ここを知っている 違う?
詩人:!!
ルル:我が主にはまだ 会わせるわけにはいかない。

 ルルの先端が分かれた袖が伸びて、主人公達を縛り付ける。

舞:なにこれ……。うっ。(これはルルちゃんの、袖!?)
ピエロ:く、うっ 身動きが……とれない!

レヴィ:うっふっふっふ~~♪ いいかっこうだねみんな。

相変わらずの唐突な登場にビックリする三人。

舞:レヴィ・・・・・・!
レヴィ:ようやくメインパーティーメンバー勢揃いだね。
ピエロ:魔法使いは、この城にはいないんですか レヴィ!
レヴィ:ククク、ボス戦の一つも無しにラストダンジョンにたどり着くなんて、それじゃあつまんないでしょ? ラストダンジョンはなかなかたどり着けないから面白いのよ。今はまだ中ボス戦。ねぇルルくん。
ルル:るー!
詩人:ルルくん・・・!! ぐうっ
舞:ルルちゃんもレヴィの仲間だったの!?
レヴィ:ククク。RPGではお馴染みだよね。これはイベント戦。君たちにコマンド選択する権利はない。さぁルルくん、魔法使いさんの準備が整うまで、適当にこの人達を楽しませて差し上げてっ。
ルル:るー!
レヴィ:じゃねっ☆
ピエロ:待ってッ
詩人:無駄です。ルルくんからは逃げられない・・・!!!
舞:ルルちゃんの羽が光ってる・・・!

強制全体バシルーラ発動。

ピエロ:う・・・・・・一体何が起こった?
詩人:どうやら、強制的に移動させられたみたいですね。
ピエロ:ここは・・・・・・。ミラーハウス?
舞:(・・・・・・違う、思い出した、ここはただのミラーハウスじゃない)
ピエロ:ここは、ジェットコースターに乗せられた?
詩人:ミラージュ・コースター。ラビリンス・オブ・ミラージュ内の目玉アトラクションです。鏡にしか移らないキャラクターや目の前に突然現れる立体三次元映像を楽しめるジェットコースターです。今冬オープン予定だったはずですが・・・・・・。
舞:(今冬オープン? じゃあなんで私達はこのアトラクションに乗っているの? ……今さらか)
詩人:急降下しますよ、しっかり捕まっていてください。
舞:え、う、うわああああああああぁぁ!!
詩人:ミラージュコースターの目玉、過去から未来への映像が映る中を高速で駆け抜ける道、歴史疾走(ヒストリーダイブ)。
ピエロ:過去から未来への映像が・・・・・・
詩人:始まりますよ。

 ここで星の民の伝説っぽい音楽にチェンジ。

ピエロ:こ、これはっ・・・!!

 ピエロと詩人は尋常じゃなく驚いている。

詩人:なんだ、これは? こんな映像は用意されていなかったはずだ。

 轟音。

舞:何この映像・・・飛行機の事故?
詩人:何年か前にニュースになった旅客機墜落事故ですね。何故こんな映像が?
ピエロ:違う・・・これは、私の記憶だ・・・。
舞:ピエロさんの!?
詩人:記憶・・・過去だと? じゃああなたは。
ピエロ:ええ。私は、この事故の生き残り。
詩人:確か・・・邦人4人が行方不明。
ピエロ:ええ、私と妹は一命を取り留め、遠く離れた国の小さな村で保護されました。父と母は、未だ行方不明のままですが。
舞:(数年間外国で暮らしてたって言ってた……そんな理由だったなんて)
ピエロ:・・・そんなに、深刻な顔をするほどのことではありませんよ。私はこうして、妹と一緒に日本に戻ってくることが出来たのですから。
詩人:もしや、あなたは、フィッツジェラルドさんに?
ピエロ:ええ、そうです。あの方に拾われ、サーカス団の一員となりました。あの人は、私の親みたいなものです。あの人のおかげで私は居場所を手に入れることが出来た。

 またも爆音。全員息をのむ。

詩人:火事・・・・・・。
ピエロ:ふっ・・・その居場所すら、燃えてしまいましたがね。
舞:(-ピエロさんは、何回も自分の居場所を炎に飲まれてきたんだ)
ピエロ:居場所はまた見つければ良い。帰って、妹と一緒にゆっくり探します。

 爆音が止む。
詩人:・・・今度は私の過去ですか。節操がありませんね。
サラ幻:『私はやっぱり行こうと思うんです』
詩人幻:『あなたの夢がそこにあるというなら・・・私は止めない。君が選んだ道だ』
舞:(観覧車・・・詩人さんと、女の人?)
ピエロ:この女性は・・・・・・。
詩人:こんなものを私に見せてどうしようというのです。過去を変えることは出来ない。後悔しながら死んでいけとでも言いたいのですか?
ピエロ:詩人さん・・・。
詩人幻:『だが、もし叶うのなら、私も・・・・・・』
サラ幻:『あなたには、教授といっしょにフィッツジェラルドランドを創り上げて欲しいの』
詩人:やめろ。やめてくれ。

荒ぶる詩人

詩人:確かに、私は彼女を止めることは出来なかった。だが、例え過去に戻れたとしても同じこと、サラを止める資格なんて私にはなかったのだから。その結果彼女が消えてしまうとしても。
ピエロ:やはりあの女性は、サラさん。サラ・ジュリア・フィッツジェラルド。
舞:(フィッツジェラルド・・・・・・!?)
ピエロ:彼女がよくしてくれました。大好きな詩人さんの話を。もしやとは思っていましたが、やっぱりあなただったんですね。
詩人:私は・・・・・・。
サラ幻:『あの子達の居場所を、完成させて欲しい。そしてあなたには、私の帰ってくる場所であって欲しいんです。お願いしますね、詩人さん』
詩人:今となっては、全て燃え尽きてしまった今となっては、もうどうでもいいことです。
ピエロ:詩人さん……。
舞:(もうすぐ、コースターが終わる)

ジェットコースターの減速音。

詩人:時間は待ってはくれない。握りしめても、開いたと同時に離れていく。ジェットコースターがいつかは止まるように。全て、通り過ぎていくものなんですよ。
ユウ:それはどうかな
詩人:!?
ユウ:君の言うとおりだ。時間は待ってはくれない。握りしめても、開いたと同時に離れていくものだ。そして・・・。

 バシュ! という音。

ピエロ:また場所移動!?
舞:ここは……?
ユウ:時計塔の屋上だよ。ボクのお気に入りの場所なんだ。待たせたね。ようやく、君たちを迎える準備が整ったよ。
詩人:じゃあ・・・・・・君が?
ユウ:そうだよ、

 ユウ君振り向く。純粋な子供の笑顔

ユウ:ボクが、魔法使いだ。ゆめのせかいへようこそ。さあ、ボクといっしょに遊ぼうよ!

舞:(魔法使い・・・・・・子供!?)

ユウ:どうだい? この世界! とっても素敵な世界だって思わない?
ピエロ:君が、魔法使い・・・・・・。
ユウ:そうだよ。
詩人:お嬢さんが、この世界をつくったのですか?
ユウ:失礼だなー。ボクはユウ。こう見えても男だよ。あなたたちのことは知ってるよ。よろしくね、舞ちゃん、ピエロさん、詩人さん。そして、佐倉紅郎さん。

 足音。階段を上ってくる紅郎さん。

舞:お父さん?!
ピエロ&詩人:佐倉さん!?
舞:…え!?
紅郎:ピエロくんに、詩人くん。
舞:ど、どういうこと?

ユウ:さぁこれで全員そろったね。

ユウくんにっこり。

ユウ:まず改めて歓迎するよ。ようこそ、ゆめのせかいへ。突然この世界に来てとまどった人が多いと思うけど、怖がらないで欲しい。この世界は、とっても優しい世界だから。

舞:ね、ねぇ、これはどういうことなの? まだ完成していないはずのアトラクションがあって、あるはずのない映像が映し出されて、サーカスも燃えていない。一体、どういうことなの? ここは、未来の世界だとでも言うの?
ユウ:レヴィから聞かなかった? ここは未来でも地獄でもない、ゆめのせかいなんだよ! とっても素敵な、ね。
詩人:私も聞きたいことがあります。
ユウ:なんだい?
詩人:この世界が君の創りだした夢の世界だというのなら、なぜ、フィッツジェラルドランドを模しているんです?
ユウ:それはここがゆめのせかいだからだよ。
舞:それじゃあわからないよ、ゆめのせかいっていったい何なの!?
ユウ:ああ、ごめんね舞ちゃん。君にはわからないよね。でもあなたにはわかるんじゃないかな? 詩人さん。
詩人:……!
ユウ:もう気づいているよね? ルルくんを見たときから、気づいてるはずだよね。
詩人:……やはり、そういうこと、だったんですか。
ユウ:ここは確かにボクがつくりだした世界だけど、ボクだけで成り立っている訳じゃない。言うなればここは、ボク達の夢の世界。
舞:ボク、達の?
ユウ:そう、ボク達の夢の結晶なんだ。さぁおいで、ルルくん、レヴィ。
レヴィ:ほいさっ。
ルル:るー。(ばさっばさっ)
舞:レヴィ。
レヴィ:やぁ舞ちゃん。数分ぶりだね。
舞:それに、ルルくん。
ルル:るー?
詩人:うすうすは気づいていましたよ。私の頭の中にしかないはずのものが、この世界にはあった。
ユウ:舞ちゃんも気づいていたんじゃない? ルルくんのデザインが違うことに。
舞:え、うん。色合いも全然違うし。他にも、マーメイドキャッスルが凄いことになってた。
ユウ:説明は詩人さんに任せるよ。なんせ彼こそ、ルルくんの生みの親なんだからね。
舞:えっ? 
ピエロ:そうか。詩人さんはデザインスタッフの一人……。
詩人:ルルくん……ルル=イェーガーは、名前の通り少しホラー色のあるデザインのゆるきゃらでした。私が気づいたときには勝手に設定やデザインを変えられてしまっていたんです。それに伴い、彼の居城だった『イェーガーキャッスル』も、全く別のものに置き換えられていた。
舞:そんな……。
ユウ:ひどいよね。こんなに可愛いキャラクターなのに。ボクは好きだよ。こっちのほうがね。
ルル:るーるー♪
詩人:気に入ってもらえて、なによりです。
ユウ:さて、わかってもらえたかな。ボク達の夢が混ざり溶け合い、この世界は出来ている。
ピエロ:わからないのは、メンバー構成です。
ユウ:?
ピエロ:教えてください。なぜ私たちなんです? あの火事の時、サーカス小屋には、1000人を超える人がいたはずです。
ユウ:それは、ボクにもわからない。多分、君たちがどこかしら僕と似ている人間だったからだろうね。おそらくあなたたちは、僕が夢の世界をつくりだした瞬間、それにシンクロし、ここに来ることが出来た人間。1500人もいて4人しかいない何かが、あなたたちにはあったんだろう。
舞:私達はどこか、似ている?
ユウ:例えばピエロさんは、妹を愛している。今すぐにでも妹に無事を知らせたい。
レイ:……はい。
ユウ:詩人さんと佐倉さんは、このフィッツジェラルドランドを心の底から愛していた。

ユウ:そしてボク達全員、目の前に迫る死を心の底から恐怖し、憎み、現実を否定した。結果、ボク達は死を免(まぬか)れ、この夢の世界を創りだしたんだ。
詩人:確実な死の運命の否定……この世界では、それが叶うというのですか?
ユウ:ボク達は死という絶対の運命への反逆者なんだ。ねぇ、君たちは、輪廻転生って信じるかい? 人は死んだら蘇るって言うの。
ピエロ:信じたい気持ちもありますが、信じられません。
ユウ:そうだよねぇ普通は。じゃあさ、あるって考えてみて、生き返るってどう思う?
舞:どう、って言われても……。
ユウ:どう思う? 詩人さん。
詩人:考えたことのないテーマでしたね。生まれ変わると言うことは、意識を保って次の肉体へシフトする、ということでしょうね。容姿も違えば、脳も違う。育つ環境が違えば、人格も違う。
ユウ:そう。そうなんだよ。生まれ返った時点でもう違う生き物なんだ。ボクが裸でウホウホ言いながら獣を狩ってた人間の生まれ変わりだとしたら、それは同じ人間だといえるかい? ぜっったいに違うよね。ボクにとってのボクはただ一人、緑間ユウとして生まれてきたボクだけなんだ。
ピエロ:確かに、そういわれればそうですね。
ユウ:だからね、輪廻転生なんて期待するだけ無駄なんだ。ボクはボクのまま存在し続けたいんだから。そして最終的には、

 ミ○キーマウスの魔法発動時みたいな効果音を発生させながら空をつかむ動作。(名付けてマジカルスターダストシェイクハンド)

ユウ:この世界の! 生と死、そのシステムを破壊し、全ての生き物の永遠の命を実現する!
全員:!!
レヴィ:そう。あなたはそれを成し遂げられる唯一の存在なのです。
舞:レヴィ……?
レヴィ:我が主こそが、既存の世界・システムを破壊し、新しい世界を想像するのにふさわしい存在。この『ゆめのせかい』は、その第一歩。
ピエロ:そ、そんなことが……。
レヴィ:可能なのよ、だって彼は魔法使い。不可能を可能にする、それこそが魔法。
詩人:全ての人間に、永遠の命を?
舞:あなたたちは一体、何者なの?

がくがくふるえている舞。


舞:今の世界を破壊するってどういうこと……? 死のない世界って……!? そんな世界征服みたいなこと、そんな大規模なことして大丈夫だと思ってるの? 怖いよ! 私は永遠の命なんていらない! それよりお父さんといっしょに元の世界に戻りたい!
レヴィ:あらら、この子は今自分がどういう状況かわかっていないみたいですね。そろそろ教えてあげたらどうです? 魔法使いさん。
ユウ:そう、だね。(悲しそうに)余り気持ちの良いものではないのだけれど。
舞:私達の、状況・・・・・・?
ユウ:ボクはね、ここに来るまでは、ごく普通の人間だった。緑間ユウって名前の、ただの10歳児。妹と両親と、何不自由ない生活を送っていたよ。舞ちゃん、君と同じようにね。
舞:……?
ユウ:だがボクはそんな楽しい楽しい人生のさなかに、ボクは火事に巻き込まれた。

目の前に映し出される地獄の業火。決死の消化活動。

舞:(これは、あの時の、地獄。魔法使いさんも、ここで……)
ユウ:ボクは、『目の前に迫る死を心の底から恐怖し、憎み、現実を否定した結果、死を免(まぬか)れ、この世界を創りだした』。死の1秒前に、この世界を創り出し、逃げ込んだんだ。現実とは違う理の上に成り立つこの世界にね。……この意味が、わかるかい。

誰も喋らない。重い沈黙の後に、魔法使いが口を開く。

ユウ:ボク達は、もとの世界には帰れない。戻った瞬間、正常な時間が流れ、死を迎えることになるからだ。

目を閉じて、もう一度かみしめるように言う。

ユウ:ボク達はもう、元の世界に戻れても、生きていられないんだ。
舞:そん、な……。
ピエロ:もう、私達は……。
詩人:は……は……。
舞:(私達はもう、元の世界には帰れない。お母さんにも、お兄ちゃんにも、もう会えない)

へたりこむ詩人

ルル:るー?
詩人:ふははははははははは!! あーっはっはっはっは! ふーっふはははははは!

大爆笑。みんなちょっと引いてる。

ユウ:詩人さん……?
詩人:なんということ! ふふっ、つまりもう! 既に! この世界こそが! 私達の住む世界と言うことではないですか!

ばっ、と腕を広げる詩人。

詩人:この高さから見回すことで改めてわかりますよ、この世界は、素晴らしいと!!
紅郎:詩人くん……。
詩人:見てください佐倉さん! これぞ私が、あなたが、サラが! 本当に作り出したかったフィッツジェラルドランドではありませんか!?
ピエロ:理想の、フィッツジェラルドランド?
詩人:そうですよ、ピエロくん。あなたにとってもそうではありませんか!
ピエロ:え……。
詩人:よく見てください、あれを!
ピエロ:あれは……サーカスハウス。
詩人:現実世界のサーカスハウスは、団員・動物もろとも燃え尽きてしまった。フィッツジェラルドサーカスは、もはやここにしか存在しない!
ピエロ:!!
ユウ:そう、その通りだよ、詩人さん。

ラスボスらしく歩み寄ってくるユウ。

ユウ:それに、ボクは確かに『元の世界には戻れない』とは言ったが、こうも言ったはずだよ。

にやり、と会心の笑みを浮かべるユウ。

ユウ:この世界の生と死、そのシステムを破壊し、全ての生き物の永遠の命を実現すると!
ピエロ:! それはまさか……!
ユウ:そう。つまり、現実世界を、この世界のシステムで上書きする!!

Z-ONEのテーマ的な盛り上がる壮大な曲(があるといいな……)

ユウ:だからね、大切な人にもう会えないって絶望する必要なんて無いんだよ。
舞:え……?
全員:!?
ユウ:だって舞ちゃんの家族も、ピエロさんの妹も、そして、サラさんも。いずれはこの世界に来ることになるんだよ? だってこの世界こそが理想郷(アルカディア)、全人類の『ゆめのせかい』なんだから!!
ピエロ:……! そうか、じゃあ私の願いは
ユウ:すべてかなえられるよ。妹と一緒に、サーカスを続けていける。ピエロさん、

とびっきり優しい笑顔。

ユウ:ここが、あなたの居場所なんだよ。

ピエロさん感動で号泣する。

ユウ:君は言わずもがなだよね、詩人くん。
詩人:ええ。現実世界にいたときは、もう諦めていましたが、こうなれば話は別です。これからも私は、彼女の帰ってくる場所であり続ける。彼女の望んだ、『詩人くん』として。この、永遠のフィッツジェラルドランドで。
ユウ:舞ちゃん、佐倉さん。あなたたちも、どうかな。この世界にいたいって思ってくれた?
舞:(この世界が、私達の居場所……? これから、ずっと……。みんな、元の世界に未練はないの? 大切な人はこの世界に来るかも知れない。死も病気もない素晴らしい世界かも知れない。でも、そんなに簡単に元の世界を諦められるの?)
ユウ:舞ちゃん? 大丈夫?
紅郎:……ユウ君。
ユウ:ん?
紅郎:君は優しいな。この世界は、優しさに満ちている。僕達全員の夢の結晶とはいえ、この世界を創り出したのは君だ。君の優しさを感じる世界だよ、ここは。
ユウ:ありがと♪
紅郎:俺も、ピエロくんも、詩人くんも、喜んでこの世界で暮らしていこう。
舞:お父さん!?

ユウ君満開の笑顔

ユウ:ありがとぉ! 嬉しいよ、嬉しい!
紅郎:でもな、

懐から扇子を取り出す紅郎さん。扇子が深紅に輝き出す。

ユウ:そ、それは……!?
紅郎:舞だけは駄目だ。舞は大人びた口調で喋るけど、まだ9歳なんだ。この子にはまだ、母親が必要だ。

舞に扇を投げ渡す。

舞:え、こ、これなに? なんでひかってるの!?
紅郎:いつか迎えに行くよ。その扇子、帰ったらお兄ちゃんに渡してくれ。先祖代々伝わる由緒正しいものなんだ。
舞:え、ええ!?
紅郎:今は夢から覚めろ。

全てが遠のいていくような効果音。

紅郎……元気でな。
舞:お父さん!! おとうさん!!

ユウ:……あれで良かったのかい?
紅郎:今はまだ、あの子はこの世界を受け入れることが出来ないさ。
ユウ:そう。
(菩薩のような表情)
ユウ:君がそれで良いんなら、僕は何も言わないよ。なんにせよ、しばらくはこの四人でやっていくことになりそうだね。
レヴィ:僕もいるよっ!
ルル:るーるー!
ユウ:そうだったね。結局、君は一体何者なんだい、レヴィ?
レヴィ:わたくしはあなたの忠実な家来でございます。あなたが何度生まれ変わろうと、ね。
ユウ:そういうことにしておくよ。これで舞ちゃんもいれば7人だったんだけど……まぁいっか、四天王+忠臣二人ってことで。
詩人:ふっ、そのセンス、嫌いじゃありませんよ、私は。嫌いじゃない。
ピエロ:こうなった以上……私はあなたへの協力を惜しみません。共に、この世界から悲しみを消し去りましょう。
ユウ:うん。ボク達は世界から、全てを奪われた。今度はボクが、奪い返してやる。待ってて、聖派くん。そして……ユミ。


エンドロール。
誰か歌ってくれないものか……。


・エピローグ

舞:はっ。

現実世界で目を覚ました舞。
桜花:舞!! 良かった……良かった!(泣いている)
舞:私、どうして。
医者:君は燃え尽きたサーカス小屋の近くで、寝てたんだ。お兄さんがずっと近くにいてくれたんだよ。お母さんも、もうすぐ到着するそうだ。

言いづらそうに一瞬言いよどんだあと、医者発言。

医者:だが……落ち着いて聞いて欲しい。お父さんは、まだ捜索中だ。サーカス小屋にいたのならその、発見はかなり困難だが、覚悟しておいて欲しい。
舞:(……そっか。お父さんは、あの世界に残ったんだ。彼といっしょに、新しい世界を創り出すために。死を、この世から消し去るために)

扇子を取り出す舞。

桜花:それは、父さんが持ってた……。
舞:(私は、これのおかげで元の世界に戻ってこられたんだ。どうやってかは知らないけど。お父さん、自分で使うことも出来たのに……)
桜花:舞……?
舞:(お父さんは最後にこれを、お兄ちゃんに渡せって言った。多分、これからはお兄ちゃんに守ってもらえってことだったんだと思う)
舞:お兄ちゃん。
桜花:ん?
舞:これ、お兄ちゃんが持ってて。お父さんがそう言ってた
桜花:父さん……。分かった。これは俺が持ってる。
舞:(お兄ちゃん泣いてる。多分、遺言だと思ったんだ。代々佐倉家に伝わるものだし、実際それに近いんだと思う。でも私は泣かない。だって、お父さんはあっちの世界でまだ生きてるし、彼-魔法使いの野望が本当なら、いつかまた)

遠い目をする舞。

舞:(いつかまた、会うことになるだろうから)


板堂:今から七年前。現場にいなかった私には、何が起こったのかは分からない。まともな生還者は佐倉の妹だけだ。そして死体は一体も発見されていない。この事件は、きっとまだ終わっていない。そういうことなんだろう。ユウ、俺はお前を、まだ諦めていないぞ。


ユウ:待っててね、聖派くん、ユミ。もうすぐ全ての準備が整う。悲しみのない、優しい世界を。このボクが、創り上げてみせる。

【ゆめのせかい 完】





佐倉舞 小学生 普通の子。口調が少し大人びている。
佐倉紅郎 駄目な奴感漂う中年親父。本編主人公佐倉桜花の父親。
ピエロ 本名レイ。ベトナム人、ミャンマー人の血が混じっているサーカス団の花形。本編メインキャラの兄(姉?) いや多分兄。
詩人 本名は上田明人。ルル=イェーガーやレヴィなど遊園地を佐倉紅郎と創る際デザイン面で貢献した。
レヴィ 名前の元ネタはレヴィアタン(リヴァイアサン)。
ルル=イェーガー 詩人が作ったキャラクター。怪物柄のフードをかぶっている可愛い少女のようななんだかよくわからないキャラ。商業展開や着ぐるみ化の際、いわゆる偉い人たちに勝手にデザインを変えられ、詩人はとても不満だった。名前の由来はクトゥルー神話のルルイエ。フードのデザイン・袖はクトゥルーの怪物を意識。
緑間ユウ 魔法使い。ゆめのせかいを創っちゃった人。本編真の主人公板堂聖派の幼なじみ兼親友。本編一期ラスボス枠。DQでいうドルマゲス枠、というよりどっちかというとアニメ版ブラックキャットのクリード枠。
緑間ユミ ユウの双子の妹。ユウがゆめのせかいに消えて以来病気がち。名前の由来は二人とも「Dreamer」。
板堂聖派 本編真の主人公。強いけど中途半端な男。豆腐メンタル。
佐倉桜花 本編主人公。当時12歳。メンタルの強さが異常。
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Author:黒ザトー
小説『Dusk』ゆるりと更新中
並びにボイスドラマ企画『Dusk ep0 ゆめのせかい』
企画中


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